#author("2022-06-08T23:18:50+09:00","","") その2:ガイガーカウンタにZigBeeを接続する(2) *GM-01A [#lcef69d2] [[Open Geiger Project>https://opengeiger.com/]]さんのGM-01Aを1台入手できましたので、ZigBee化にチャンレジしてみました。GM-01AはGM管にわりと感度が良いと定番のSMB-20を使っているオープンソースなガイガーカウンタです。今回はこれにUSBタイプのZigbee機器「78K0R UD Stick」を接続してみます。 &ref(tumblr_low2wkagT71ql56v1o1_500.jpg,nolink); *ZigBeeデバイスとのIF [#r1a25b80] ZigBee機器とどんなインターフェイスで接続するかがいつも問題になるのですが、GM-01Aはマイコン(ATMEGA328P)からUARTのTRXが出てるようなので、今回はこれが活用できそうです。 また公開されているソースコードを見ますと、検出した放射線のカウント方法としては、シンプルにGM管の入力をMCUの割り込みで拾ってました。そこでソースコードを数行だけ修正させてもらい、割り込みハンドラの中にPORTD1(TXD)をHI-LO操作するコードを追加して外部機器へのトリガーにしました。 *WinAVR [#w345a63a] GM-01AのビルドにはWinAVRを使ってみました。いろいろ試行錯誤しましたが、分かってみると簡単で、手順は以下の通りです WinAVRを[[この辺り>https://sourceforge.net/projects/winavr/files/]]からダウンロードしてインストール スタートメニューから「Programmers Notepad」を起動 「File」→「New」→「Project」と指定して 適当な場所にプロジェクトを作成 最新のopengeiger_firmwareをダウンロード、展開して、「app」ディレクトリをWinAVRのワークスペースへそのままドロップ (これが重要)app\rev4にあるMakefileをWinAVRのワークスペースに追加する。そしてMakefileを開いて「AVRTOOLSPATH:=/usr/local/CrossPack-AVR/bin/」の指定パスを削除 して「AVRTOOLSPATH:=」に変更。 MakefileをWinAVRのエディタで開いた状態でメニューからMake allを選択 これでビルドできるようになると思います。ビルドしたhexファイルの書き込み方はこちらの[[書き込み手順>https://code.google.com/archive/p/opengeiger/wikis/FirmwareUpdate.wiki/]]を参照してください。 *78K0R UD Stick [#x8d193c8] [[「78K0R UD Stick」>https://www.tessera.co.jp/78k0rudstick.html/]] は、内部にIEEE802.15.4 RF ICと16bit MCUを搭載した2chip型のZigBee対応無線デバイスです。個人的にこのデバイスが大変気に入っているので、今回はこれをちょっと宣伝させてもらいます。 &ref(78k0rudstich.jpg,nolink); 一般に自作系やフィジカルコンピューティングで無線通信というとXBeeがポピュラーですね。そして XBeeとの大きな違いは、ホストが必要ないということです。XBeeはモジュールなので、一般的にはこれを無線機器として駆動する外部デバイス(ホスト)が必要ですが、78K0R UD Stickは内蔵マイコンにファームウェアを書き込んで動かしますので、1台のスタンドアロンなコンピュータと同等です。ですので、イメージとして 「XBee」 = 「78K0R UD Stick」 という図式は正確ではなく、しいていうなら 「XBee + Arduino シールド(Fioとか)」=「78K0R UD Stick」 が正しいです。そう考えると78K0R UD Stickって小さいし単三電池1本で動くしプラスチック筐体に入っているしで、中々洗練されてると思いませんか。 USBスティックタイプのZigBeeデバイスも世の中に沢山ありますが USB以外に、汎用、A/D等のI/Oを備えている 内蔵ファームウェアの開発が可能 パソコンのUSBから抜いても単体で動く この条件を満たしている製品が実は中々ないので、大変重宝しているのです。 *動作の確認 [#w4d8a7d4] 改造したファームを書き込んでTXポートをオシロで見ると、GM-01A本体の放射線検出(ビープ音)と同時にパルスが観測できるので、改造はちゃんと動作してそうです。しばらくZigBeeデバイスにCPMをカウントさせてみましたが、GM-01A本体のCPM表示とくい違ってないことも確認できました。 ついでにAmazonで購入した[[キャプテンスタッグマントルM-7911>https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%97%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%B0-CAPTAIN-STAG-%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AB-M-7911/dp/B000AR4W0C/]]を近づけてみると、すごい勢いでビープ音が鳴り出してちょっとビビりました。レベル的には700-800CPM(3uSv/h)程度ですが、この程度なら取りこぼしもなさそうです。 &ref(og_zig.jpg,nolink); 電圧は3.3Vなのでレベル変換しなくて済んでいます。 *コーディネータ [#sd284745] 78K0R UD StickはパソコンにUSB接続すると、シリアル通信(COMポート)でパソコンとデータをやり取りできます。無線で飛ばした線量情報を記録するには、78K0R UD Stickをもう1個用意してコーディネータ設定にしてパソコンにつないでおくこの方法が一番早いです。しかし「パソコン立ち上げっぱなし」というのは、あまりかっこよくありません。そこでTK-850/JH3E+UDを使ってみました。 &ref(850ud.jpg,nolink); (写真では2台ならんでいます) TK-850/JH3E+UDは、イーサネットを備えた32bit MCU搭載のZigBeeデバイスです。ファームウェアでZigbeeとTCP/IPをゲートウェイすることができます(この辺りはプログラムをがっつり作りこむ必要がありますが・・) *Pachube [#h69c0a22] というわけで記録を開始しました。 Graph https://pachube.com/feeds/29765の3番が今回のデータストリームになります。 (ストリームは保守や開発のため予告なくしばらく停止することもあります。また異常に高い値や「0」が突発的に記録されることもありますが、開発時のテストデータの可能性が高いので、その分割り引いて観察してください。) あとはGM01-A本体と78K0R UD Stickをすっきり格納できるいい感じのケースを見つけて、屋外固定測定用の機器に仕立てたいと考えています。 *Androir用ビューワ [#ze40b708] AndroidからいつでもPachubeのストリームがチェックできる簡単なアプリ「Pachube Viewer」を公開しています。