SKSTACK IP for HANは、Wi-SUNアライアンスが策定するホームエリアネットワーク(HAN)用Wi-SUNプロファイルに完全対応した通信プロトコルスタックです。
HAN用プロファイルでは、スマートメーターに採用されているいわゆるBルート通信規格を拡張することで、Bルートではできなかった1対Nのセキュアな通信が可能となっています。またHEMSコントローラ(親機)とデバイス(子機)間の通信を中継する「リレーデバイス」が新しく導入されたことにより、家の中で電波が直接届かない場所からでもリレーデバイス経由による通信が可能になりました。
標準のWi-SUN Enhanced HAN規格では、リピータデバイスの中継は1回(2ホップ)のみとなっており、活用範囲が限定されていました。SKSTACK IP for EHANバージョン2.0では、この中継機能を独自に拡張することで、ホップ段数に制限がないマルチホップ通信が利用できるようになりました。従来の2ホップではカバーしきれなかった場面でも無線ネットワークが構築可能になり、Wi-SUN Enhanced HANの活用範囲が大幅に広がることが期待できます。
v2.0では途中経路を調査するトレースルートコマンドが追加になりました。上記画像のネットワークで、MACアドレス0x12345678abcdef06からコーディネータへコマンドを発行した応答例:
ETRACE FE80:0000:0000:0000:1034:5678:ABCD:EF05 48 //往路 06のネクストホップ 自端末と0x05間のRSSIは0x48 FE80:0000:0000:0000:1034:5678:ABCD:EF04 4A //往路 05のネクストホップ FE80:0000:0000:0000:1034:5678:ABCD:EF01 4E //往路 04のネクストホップ FE80:0000:0000:0000:1034:5678:ABCD:EFAA 4B //往路 01のネクストホップ=コーディネータ FE80:0000:0000:0000:1034:5678:ABCD:EF01 49 //復路 FE80:0000:0000:0000:1034:5678:ABCD:EF04 50 //復路 FE80:0000:0000:0000:1034:5678:ABCD:EF05 49 //復路 FE80:0000:0000:0000:1034:5678:ABCD:EF06 4B //復路=自端末 END
当社製品「SK Range Extender」をBルートスタックと統合いたしました。
Bルートが多く導入されている一般住宅やマンションの遮蔽物が多い環境では、迂回特性のあるサブGHzでも無線通信が不安定な場所は多く発生します。スマートメータとHEMSの中間に、リピータモード搭載の無線機器を置くだけで自動的に中継動作が始まり、不安定だったBルート通信のトラフィックの改善が期待できます。既存機器の設定変更やファームウェア更新などは一切不要です。
リピータ搭載 | マルチホップモード対応 | |
Dual Stack | 〇 | × |
Standard | × | 〇 |
Light weight | × | 〇 |
各エディションがサポートするプロファイルとロールは以下の通りです
Bルート | Enhanced HAN | |||||
スマートメータ | HEMS | コーディネータ | リレー | エンドデバイス | スリープデバイス | |
Dual Stack | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | × |
Standard | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Light weight | × | × | × | × | 〇 | 〇 |
プロトコルスタックのライセンスパッケージには、「SKコマンド」と呼ばれるコマンドインターフェイスのソースプログラムが付属しています。シリアル通信でホストマイコンやパソコンと接続し、簡単にWi-SUNの通信制御が行えます。コマンドインターフェイスは改変が自由なので、コマンドの追加や仕様変更が独自に行えます。
#制御対象をBルートに指定 SKSREG SF0 0 #Bルートパスワードを設定(サンプルのためパスワードはダミーです) SKSETPWD C 0123456789AB #BルートIDを設定(サンプルのためBルートIDはダミーです) SKSETRBID 00112233445566778899AABBCCDDEEFF #スマメをスキャンして発見する SKSCAN 2 55555555 8 0 #指定したBルートIDを持つスマメが通信範囲にいれば、ここで発見イベントが発生します #イベントからスマメの64bit MACアドレスを取り出し、MACアドレスをIPv6アドレスに変換します #スマメに接続開始 SKJOIN XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX
*)XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXXは実際には接続先スマメのIPv6アドレスを指定します
SKSTACK IPはポータビリティを重視しており、これまでに様々な製品での動作実績があります。
ご紹介資料のダウンロードはこちらから(2023/1月更新)SKSTACK_IP_for_EnhHAN_202301.pdf