#author("2022-06-08T02:05:30+09:00","","") その3:ZigBeeで節電 ■Z-800 ZigBee Power Outlet NetVox社はさまざまなZigbee対応製品を製造しているメーカーですが、先日Z-800という製品を評価する機会がありましたので、ご紹介します。 z800 ■ZigBeeコンセント Z-800は、いわゆるZigbeeコンセントです。ZigBeeコンセントとは聞きなれないですが(今、勝手に作った造語ですんで)要は電気のコンセント内に無線機が内蔵されていまして、使った電力量を無線で取り出して把握することができます。基本的には下記のように延長タップや壁のコンセントと電源ケーブルの間に挟みます(ただし口は1個だけ)。 z800plug オフィスや工場にかぎらず一般家庭でも節電・省電力が求められているので、この種の機器は今非常にビジネスが活発です。多くの製品はクランプ式電流センサを使うことが多いのですが、Z-800はソケット型になってます。スペックシートには3500WまでOKと書いてあります。普通の電源タップは1500W程度なので、十分かなと思います。 ■プロファイル さて、このZ-800から各種情報をZigBeeで取り出すにはどうしたらよいでしょうか。Z-800のマニュアルを見ますと、以下のような仕様になっているようです。 内蔵リレーを制御することで、Z-800の電源供給がON/OFF制御できる。要は外出先からコンセントの電源をオフできる。クランプ式ではこれは不可能。 →Home AutomationプロファイルのON/OFFクラスタを利用。 → Read AttributeすることでOn/Offの状態、Write AttributeすることでOn/Off制御ができる模様。 コンセントの消費電力が4種類ほどの単位で入手できる → Smart EnergyプロファイルのSimple Meteringクラスタを利用。情報毎にAttribute IDが設定されている。 →ただしManufacturer Specific Extensionsを使っており、ベンダコードの指定が必要 ちなみにZ-800はルータなので、コンセントにさしておくだけで電力の計測とか関係なく中継局(ルータ)として振舞います。ZigBeeチップセットはEmber製のようです。 ■コーディネータ というわけでHAプロファイルとSEプロファイルを混載して、周期的にZigBeeコンセントに情報問い合わせをするコーディネータを作りました(作りましたと1行で済ませてますが資料があまり親切でないのでここまでけっこう時間かかりました)。 取得した電力情報はインターネットに送信して蓄積しますので、コーディネータはいつものようにTK-850/JH3E+UDを使います。 coordinator (右の方です) ■Pachube そしていつものようにPachubeで記録を開始しました(余談ですがPachubeは課金コースがなくなり、無料でストリーム数の制限がなくなるなどサービス内容が大幅にリニューアルされてます)。 Graph https://pachube.com/feeds/34929の1番が今回のデータストリームになります。単位はワット(watt)、横軸は1日。その中で大体1分おきにコンセントの情報を吸い出してアップロードしています。このコンセントにはノートPCが1台、つながっています。 これで家庭やオフィスのコンセントの電力消費量をいつでも見ることができますね。 (ストリームは保守や開発のため予告なくしばらく停止することもあります。また異常に高い値や「0」が突発的に記録されることもあります。) ■Androir用ビューワ AndroidからいつでもPachubeのストリームがチェックできる簡単なアプリ「Pachube Viewer」を公開しています。 ■まとめ 今回は、市販のZigBee機器からいかに情報を取り出して1つのシステムに統合するか、をテーマにしました。NetVox社製Z-800のファームウェアには全く触れることなく、プロファイルとクラスタ番号を調べるだけで情報のやり取りができました。 今インターネットの世界では、ウェブサービスやSNSがそれぞれのAPIを公開して、アプリケーションの自発的な開発を促そうという流れが一般的になっています。 複数の既存サービスからAPIを使って新しいアプリケーションを作りあげることをマッシュアップと呼ぶそうですが、ZigBeeでは「プロファイル」がこのAPIの役割を果たします。プロファイルの作法に沿って製品が作ってあれば、異なるメーカーの製品から自由に情報を取り出してどんどん再利用することができます。ZigBee AllianceのウェブサイトにはこうしたZigBeeプロファイル準拠製品がすでにたくさん掲載されています。日本でも今後こういった機器の活用が増えていくことを期待しています。 その他の記事はこちらからご覧頂けます。