愛知万博:実証実験レポート 第2弾  

2005.07.11  Column
行って参りました、IT実証実験。7月13日は名古屋工業大学さんの実験最終日。参加人数も100人超と最大級で、この日を逃すわけには行きません! 会場につくとさっそくボランティアの皆さんを発見できました。みんな特製の愛MATE帽子とTシャツを着てるので、なかなか目立ちます。
ゲーム開始予定時刻になると、担当の人がメガホンでゲームのルール説明をしてくれます。人数が増えると話すのも大変ですね。皆さん、しばしの間、フムフムと聞き入ります。
今回のこのトレジャーハンティング、内容はその名の通り、宝探しです。ただし探すのはリアルな宝「モノ」ではなく、仮想空間のある場所に設定されたバーチャルなお宝。 参加者は5人1チームとなり、一人に1台、愛MATEが渡されます(これを子機とよんでます)。ゲームがスタートするとそれぞれの子機に会場の地図が現れ、地図上の「~の場所へいけ」という指令がでます。そこに宝が埋められているというわけです。プレイヤーはその指示に従って、会場内をウロウロします。
会場にはあらかじめポールが立てられ、そこにも愛MATE端末が装着されています。このポールがプレイヤーの位置を検知して、宝に近づいたかどうか、計算してるんですねぇ~
彷徨うことおよそ10分、ようやく指定の場所に到着すると、その他のメンバーもどうやらそれぞれの場所に辿りついた模様です。その瞬間、画面が切り替わり「ば」という文字が画面に現れました。 この文字がどうやら宝みたいです。他の4人にも、それぞれ違う1文字が出現しているはず。これをチャットを使って相互に伝達しあい、5文字からなる単語を完成させます。バラバラになった宝のかけらを一つに集めるというわけですね!
チャット画面に切り替えると、続々と報告が寄せられて来ます。
「”け”出ました~」「こちら”す”です」「つ です」
ば、け、す、つ・・・ウーム・・・分からない(苦笑
炎天下の中、頭をひねること5分、ようやくひらめきました「ばすけっと」
回答欄にその言葉を入れてみると・・・・見事正解!(小さな「っ」なんてなかなか分かりませんよ・・・)見事、我がチームは第一のお宝をゲットできました。
以下、同じ要領でもう1回お宝を探し回ります。2個の宝を探し出しスタート地点に全員が戻ると、ゲームクリア! モリゾーとキッコロのボーナス画像が表示されて終了となります。おつかれさまでした。
全体の印象として、かなりよく作りこまれたアプリケーションで、単語を探すところでは年甲斐もなくけっこう燃えちゃいました。チャットも(60台のアドホック通信でしたが)割と通じていました。ただ宝の位置判定が若干、精度が荒く、その辺りは今後のチューニングで良くなるのではないかと思います。


周辺は愛MATE Tシャツを着た人で一杯でした。ゲーム開始前、ルール説明の様子
舞台裏を激写!
こんなに沢山のモバイル機器見たことないです。
基地局の役割を果たす愛MATEを収めたポール。
一人一本、倒れないよう付き添います。
いよいよ順番が回ってきました!
かくしてIT実証実験は、無事すべての日程を消化し終了しました。期間中に収集された膨大なログデータの解析から、今後の大規模マルチホップ・アドホックネットワークに繋がる様々な知見が得られるものと期待しています。

それらは今後、論文や報告書の形でまとめられると思いますが、ここでは「アドホックネットワークにとってのアプリケーション」という観点から少し述べてみたいと思います。

今回のトレジャーハンティング、5人1組でチームを作りますが、まずリーダーがゲームを開始してグループ形成します。その際グループメンバーは、リーダーのブロードキャストを受信して、近くでゲームが開始されたことを知ります。メンバーはゲームを選択し、そこに参加します。

このインターフェイスはまさにサイビコ等と一緒で、無線の放送性を使った基本的なサービス発見のテクニックです。これによってプレイヤーは、リーダーの細かな情報(アドレスとか番号等)を知らなくても、近くにいるというだけでゲームのスタートを知ることができます。

また今回の開発で使われた手法である、電波強度によるパケットのフィルタリングを使えば、無線の飛距離を見かけ上コントロールすることが出来ます。これによって「ものすごく近くにいる人だけがゲームを発見できる(”声が聞こえる”)」とか、「端末同士を接触させるとグループに参加(”握手をする”)」というようなインターフェイスも可能になります。

インターネット向けアプリケーションを数多く開発してきた人なら、例えばここで子(クライアント)が親(サーバ)のアドレスを入力して接続しにいき、親はずっと待ち受けるというアーキテクチャを採用したかもしれません。ブラウザもメールも全部このインターフェイスです。

しかし、アドホック時代のアプリケーションは、これではダメです。近いものは近く。遠いものは遠く。そして近くのものはそれだけ強く、自然と自らの存在を周囲に知らしめる必要があるわけです。

あらゆる情報が等距離にあるインターネットとは異なり、実空間に密着したネットワークであるアドホックネットワークには、それ固有のアプリケーション作法や、インターフェイスがあり得るし、またあるべきだと私は思います。今回の実証実験では「データの収集」という技術的な成果もさることながら、「新しいアプリケーションの可能性」という方向も一つ開拓できたのではないかと考えます。

スカイリーが考える「遠近法のある世界」とは、こんな感じの世界です。 最後になりましたが、みなさま大変お疲れ様でした。そしてありがとうございました。・・・by うめだ
CONTACT